結局、フロントサイドエンジニアはいつまでIE11に悩まされるのか?

2019年1月26日IE, Windows, フロントエンド

IE、と聞いただけで拒絶反応を起こすエンジニアはたくさんいると思います。
そんな嫌われ者のIE(Internet Explorer)さん、今後はどうなるんでしょうか?

少数派になりつつあるIEユーザー

ブラウザのシェアから見る、IEの今後

ブラウザやOSの世界シェアを公開している、「Net Market Share」というWEBサービスがあります。

2018年9月のブラウザシェア

Market share for mobile, browsers, operating systems and search engines | NetMarketShare

これを見ると、Chromeは1年で約6%のシェアを増加させて約7割のシェアを占めているのに対し、IEは1年で約3%減少し、全体の1割を切りました。IEの後継となるEdgeも全体の4%弱と、ほとんど使われていません。

こう見てると、「IEなんてもうこの世に無かったことにしていいんじゃ…?」という横暴な考えも浮かんできますが、実際そうはいきません。
世界シェアは1割程度ですが、”日本だけのシェア”でみるとさらに高いというデータもあるからです。

衰退するが絶滅はしない老舗ブラウザ

ユーザー層によっては、ある程度長くレガシーなシステムを使われてきた方などには、IEという青春時代から共にすごした「親の顔より見慣れたUI」なブラウザを使いたいわけです。
新しいシステムに移行するけど、どうしてもIE11で使いたいから対応してほしい、という案件がある理由もなんとなくわかります。(ここは営業さんの力量次第ではなんとかなるのかもしれませんが技術者には関係ない話です)

シェアがいくら下がっても、確実に母数が0になることはありません。
特に公共施設なんかは特にひどい状況で、図書館のインターネット閲覧用PCのブラウザが「IE7」だったりしました。最近のサイトはことごとくデザインが崩壊していましたが、これは下位互換対応が足りないんでしょうか。
インターネットに繋げず、プリイン以外のソフトがインストールできない環境とかも五万とあるので、「もう金輪際、IE対応しなくていいですよ~」っていう日が来ることはまずないのが悲しい現実です。

マイクロソフト製ブラウザの今と将来

「Microsoft Edgeに移行する」という解決案

IE11は今やポピュラーなブラウザではありません。Edgeというマイクロソフト自信作の最新ブラウザがあるからです。
マイクロソフトも公式発表でInternet Explorerについて、「現在の Web アプリケーションが古いブラウザーである Internet Explorer 固有の機能に依存している状態であれば、そうした依存性を無くし、最新のブラウザーである Microsoft Edge で閲覧できるように見直していただくことを、今からご検討いただくようお伝えをしていく」と言っています。

ところがEdgeは、デザイン面では完全ではないながらもモダンブラウザと似たような動作をしてくれます。

しかし動作環境の汎用性に難があります。
モバイルはさておき、PCを前提に考えても、
そもそもEdgeというのはWindows 10専用ブラウザです。Windows 8.1以前のOSでは使用できませんし、Windows 10系のサーバーOS(Windows Server 2016, 2019など)でも使用できません。

Q: Windows 10 を使用していますが、Microsoft Edge が見当たりません。 どうしてでしょうか。
A: Windows Server 2016 および Windows Server 2019 など、Windows の長期的な Servicing Branch (LTSB) バージョンには、Microsoft Edge やその他の多くのユニバーサル Windows プラットフォーム (UWP) アプリを含めないでください。 これらのアプリとそのサービスは、頻繁に更新されて新機能が追加されるため、LTSB オペレーティング システムが動作するシステムではサポートできません。 特殊デバイスで LTSB を必要としている場合は、Internet Explorer 11 を使うことをお勧めします。
Microsoft Edge: IT 担当者向けのよく寄せられる質問 (FAQ) | Microsoft Docs

もちろんMacではダウンロードもできなければ使用することもできません。つまり、Windows 10かWindows 10 Mobileを使っている限られた(PCユーザーの中では比率は高いが)人たちのために、Edge用の代替コンテンツを作るというのも、それはそれでナンセンスな気がします。

EdgeがChromeと同じエンジンになる噂

「Chromium」という、日進月歩のオープンソースWEBブラウザ開発キットがあります。これはモダンブラウザと呼ばれるChrome、Firefox、Operaなどのブラウザのベースとして採用されています。いわゆるWEB担当者が楽なブラウザたちです。

先ほど言ったように、Edgeはマイクロソフトの自信作ブラウザなので、独自のHTMLレンダリングエンジンを使ってIE11よりもセキュリティや表示速度の改善を実現しています。ただ、その他の進歩が目まぐるしいモダンブラウザと違って、機能の拡張も自分たちで行わなければいけないので、更新ペースもセキュリティアップデート以外はWindows Updateと同時で、年に2回くらいしかないです。

そんな現状を受けての判断か、将来的にEdgeが「Chromium」をベースにするという情報が流れました。これが本当に実現すればEdgeもモダンブラウザに仲間入りする日も来るかもしれません。

でも、世の中のほぼすべてのブラウザが同じエンジンを使うことに、懸念がないわけではないでしょう。

結論

今の段階のシェアを見る限り、完全にIEを含めEdgeを見放すことはできません。

でも、結局マイクロソフトがオープンソースの勢いに負けてChromiumベースになってしまったら、IEって、Edgeってなんだったの・・・ってなりそうです。時代の流れには逆らえませんからね。がんばれMicrosoft。がんばれウェブ担当者。