チームリーダーが登壇するので「Developers Summit 2020」に参加してみた
2003年から始まった日本有数のデベロッパーズイベント「Developers Summit 2020」が2月13日、14日に目黒で開催されました。
僕が今参加しているプロジェクトのチームリーダーが登壇するので、満を持して参加してみました。
開発者イベント、初参加なので緊張しましたが、若手・初心者にもわかりやすい内容も多く非常に勉強になりました。
(僕個人の主観的な意見はこの吹き出し内に書いていきます)
目次
Developers Summit 2020って?
エンジニアによるエンジニアのためのイベント、Developers Summit。通称デブサミ。
入場は予約制ですが、スポンサー様方の支援が大きいようで、入場や受講は完全無料です。
会場は目黒のホテル雅叙園東京。立派すぎる会場ホテルにもびっくり仰天ですが、隣にはアマゾンジャパン合同会社の本社がありました。納得。
そしてお昼頃の講義では軽食としてサンドイッチとお茶が。カツぶ厚!笑
そしてこれも無料配布。いい加減お金払わせてください。
SE, Developer, PMなど対象はさまざま
Developers Summitという名前、一見非常にとっつきにくい専門的な知識を語り合うイベントのようにも感じられますよね。
実際はフェスみたいなタイムテーブルで1日8コマが6つの会場で同時に行われていて、好きなように観覧したいコマを選べるので、ジャンルも分野もレベルも好きに選べます。(フェスっていうより大学の講義か)
出席した講義の内容と感想
動画はないので同じ内容は聞けませんが、どんな内容か、僕がメモった内容をまとめて簡単な感想と一緒に紹介します。
覚書きをもとに書き起こしてるので、認識の齟齬や誤記、不足があるかもしれませんが、ご承知おきを。
起業家的?!エンジニアのススメ(SORACOM・玉川氏)
「パッションを持ち、自ら人生を切り拓く起業家的精神を持つエンジニア」であれ!
日本は非常に安全+スタートアップ投資も増加する反面、IoTはIntelligence of Things(デバイスが知能を兼ね備える)時代になるなど、世界は高速に変化し、予測できないため起業・スタートアップは不安がある。
しかし近年、AWSの登場により、よりスタートアップが参入しやすい状況に変化してきている。
- AWS以前→アイデアがあっても初期投資額が大きすぎた
- AWS登場後→たくさんのイノベーティブなWebサービスが生まれる(Slack, Dropboxなど…)
そう、行き着く場所は、スタートアップだった。
- AWSを辞め、7億円調達しSORACOMを立ち上げる
- より自由度が高く、グローバルで成長率が高いスタートアップへ
- 海外展開のためにさらに3億円調達(スモールビジネスではなく、スタートアップ)
- 成長率が高いと、正しいチャレンジが得られる
起業家的精神を持つエンジニアとして何をすべきか?
- 常識・よいと思われていることを疑う
- 新しいことにチャレンジできる環境に身を置く
- 英語は必須
→読み書きしながらPodcastでリーディングするとよい - Programming x Your Passion
→夢中継続時間を追求しよう
よいプロダクトをつくるには…?
- チームにタレントがいる
- チーム力がある
- スタートアップであり、スモールビジネスではない
- ちゃんとしたVCの投資がある
未来はわからない。後から振り返って点はつながると信じて行動する。ジョブズも言ってた。
冨岡義勇(鬼滅の刃)「生殺与奪の権を他人に握らせるな!」=生きるか死ぬかは自分で決めるべし
中小・SIよりベンチャー、ベンチャーよりスタートアップのほうが、ハイリスクだけどハイリターン。近年はハイリスクな部分がかなり軽減されてリターンだけになりつつあるというポジティブな内容でした。
そのとおりだと思います。僕もリスク取ってチャレンジし続けます。
創業105年の旅館運営企業が実現した毎週リリースするチームの作り方(星野リゾート・藤井氏)
講師(藤井氏)の概略…
- Java開発を経て、2018年に星野リゾートに入社
- スクラムマスター認定取得
星野リゾートのスゴいところ
- 星野佳路代表がホテルを「所有する」のではなく、「運営する」ビジネスモデルに転換
→これにより星野リゾートが急成長 - 日本旅館を世界に発信するべく、海外展開にリソースを割いている
- リゾート企業なのに情報システム(インフラ、運営、エンジニア、APM、導入)のリソースがある
星野のエンジニア組織=「Ganho(ガンバレ星野)な組織」
- フラットな組織=思考が滞らないように新鮮な意見を出し合える
- 全員が同じ情報を共有する=一人ひとりが解決する
- チームワークによる解決=部署の枠を超えて問題を解決する
しかし…藤井氏入社当初は課題も散見された。
- 最初からエンジニアが潤沢だったわけではない。
→2016年は社内5人、外部委託に頼っていた(母体はリゾート企業なので、餅は餅屋的思考)。 - 競合他社に真似できないように、システムも独自のものが多い。
→予約システム・販売管理システムは特に力を入れていた。 - リソースが足りないため、いきなり内製化はできない。
→一人雇って成果を出す、を繰り返すことにした。 - 優先度が決まらなかった(ステークホルダー多すぎ)
→工数をポイント性に変更してみた。→F(藤井)ポイント - 拠点もバラバラ、文化もバラバラで効率だけを重視した開発になってしまった。
→藤井氏の開発負荷だけが溜まる→体制を強化→状況は変わらず
ある時、「カイゼン・ジャーニー」を読んでスクラムを導入。
- コミュニケーション機会を増やす
→全員で説明や議論を共有 - フォロー体制の強化
- 開発効率の改善
→スプリントを1週間とし毎週リリースすることで、成果を出すために躍起になった - チームを分断するとどちらかがボトルネックに
→機能横断でチームにした
スクラムにしてよかったこと
- 改善にも時間を使うことで効率が格段に上がった(Vue, Nuxt導入、CI自動化…)
- スプリントレビューで各部署の生の意見が開発者まで届くように
- 意思決定の速さ=ビジネスの進化につながった
今後はスクラムを開発以外にも導入したい。
まとめ
- 外部に依存した体制からの脱却
- 改善には支えとなる組織文化とマッチするスクラムが合った
- 非IT企業だからこそエンジニアがビジネスを大きく進化させる価値を生み出せた
- 価値を続けていけば経営陣も変わる
「うちは開発会社じゃないから外部委託のほうが良いものができる」という考えも間違いではないですが、内製化できればより良い。でも質のいいエンジニアチームなんて簡単に組めないし…という課題を、スクラム開発を導入して解決したという非常に素晴らしい例です。
「自分たちエンジニアが幸せになった」だけでなく、代表の考えが変わり、他部署の仕事が楽になり、お客さんが予約しやすくなるという好循環が生まれ、すべての人がハッピーになるという内容は、講演としてもかなり感動的でした。
Salesforceで変わるこれからのアプリケーション開発と開発者の働き方(Salesforce・田中氏)
現代は「デジタルトランスフォーメーション」(デジタル化で生活のあらゆる方面で良い方向に変化させる) の時代へ。
- いま、システム内製化が進んでいる
→ユーザー企業の25%は社内システム内製化 - プログラミング教育が始まる
→求められるのはプログラミング的思考であってコーディングではない - 誰でも開発に参加できる
→ローコード開発が2024年までに65%以上になるとの予測も
プログラミングは、時代を追うごとに「低級言語→高級言語→軽量言語→ローコード」と進化している。
「ノーコード」、「ローコード」、「プロコード」という3つの段階的プログラミングとは?
例えば、SalesforceはAPIを公開するのとセットで、すぐに設定して有効化できるサービスを公開している。
→「ノーコード」と「ローコード」を画面上で実現するため
それぞれの開発を実際のSalesforce画面上で実践してみる(例:勤怠管理アプリ)
- 要望①:メンバーの勤怠情報を管理したい→「ノーコード」でアプリ一覧に追加できる
- 要望②:ダッシュボード画面で出退勤時間を入力したい→「ローコード」でSalesforce上でダッシュボードにコンポーネント追加
- 要望③:ダッシュボード画面で押すだけで出勤・退勤時間が入力されるボタンを作りたい→Salesforce APIなどを活用しながら独自にHTML/JSをプログラム
結論:ローコードは便利。
→ただし…開発者は開発をやめてはいけない。
ノーコード、ローコードは開発時間を短縮するツールでしかない。
プロコードの需要は依然高いだろう。
IT需要は増すばかりですが、エンジニアは常に不足。エンジニア人口を増やすのはもちろんですが、グラフィカルで直感的なプログラムができれば敷居も下がり扱いやすいものになります。
データ運用を民主化に導いたMySQLや、ネットメディアを民主化に導いたWordpressのように、あらゆるプログラミングを民主化するプラットフォームが今後も登場するんでしょうか。
若手エンジニアの登竜門「Developers Boost 2019」優秀セッション再演!
この講演では1時間の中でDevelopers Boost 2019というイベントで登壇された3名の方が順番に話をされました。
組織にモヤっとしたら聞く話〜明日の自分と向き合う時間〜(イマジカ・鉢須賀氏)
まず、この講演に期待することはなんですか?周りの人と2分話しましょう!
講師:Scrumチームで映像制作をしている。
スローガンは「個人のスキルとセンスからチームで働く組織に」
カイゼン・ジャーニーの講演を聞いて一念発起。
アウトプットから始まる連鎖
- ログを残す
- 発信する
- 実践する
一人から始める連鎖
- 派手に始める
- 注目してもらう
- 実践につなげる
得意なことを3つかけ合わせると誰にも負けない個性になる。
ある実験では、インプット3割、アウトプット7割を実践したチームが一番成果があった。
→さあ、今すぐTwitterでアウトプットしよう!
…さいごに、講演を聞いて、これからどうアウトプットしていきますか?周りの人と2分間話しましょう!
講演内のシェアタイムは他の講演にない取り組みで、隣りに座っていた見知らぬ人にその場でアウトプットできる、という体験が刺激的でした。
僕もブログという媒体でアウトプットを心がけてますが、手段はTwitterでも井戸端会議でもセミナーでもいいんです。知識と個性を気軽に発信できるいい時代なので、どんどん発信したいですね。
エンジニア✕◯◯〜職種を「越境」して希少性を出すキャリア〜(プレイド・池上氏)
講師:ポッドキャスト「しがないラジオ」パーソナリティ
20代エンジニアのよくある悩み
「技術やマネジメントに尖った強みがなければ活躍できないのでは?」
次のすべてを満たす人が希少だった。自分はこれに当てはまったので、いつしか今の会社でなくてはならない存在に。
- 最低限のプログラミングスキル
- 非エンジニアにわかりやすく説明できる
- メールや往訪が嫌じゃない
希少性のあるエンジニアの例
- エンジニア✕CS=顧客に寄り添った開発環境の整備
- エンジニア✕マーケティング=マーケティングツールに精通してPDCA回す
- エンジニア✕美容師、エンジニア✕お笑い芸人、エンジニア✕歌手…など、可能性は無限大!
エンジニアリングは開発チームだけの話ではない。
エンジニアリングの民主化が広がり、職種で分類できない役割が増えてきている 。
僕も「Instagramやってる」✕「旅ブログやってる」✕「エンジニア」という点を買われて、今の会社にスカウトされました。
現代は何が光って何が拾われるかわからないので、自分の強みだと思ったものは積極的にアピールすべきだと思います。
入社2年目からスクラムマスターとしてチームに参戦した話(ヤフー・西山氏)
7チームのスクラムマスターを経験し、失敗から学んだこと
スクラムのよくある失敗と改善策
- 終わらないユーザーストーリー
→3本の柱を回してみよう - プラクティスが導入できない
→プラクティスの目的が伝わっていないなら、チームの目標(チーム像)を議論する - 白熱して追いつけない議論
→内容がわからないときは話を止め、わかるまで説明してもらう
スクラムを実践していると陥りやすい問題に対する解決プロセスを、実際に自身がスクラムマスターをした経験からわかりやすく解説してくださっていたので、自分も気をつけようと思いました。
さいごに
などなど。他にも見たい講義はたくさんありましたが、ひたすらインプットしてるだけだと身にならないので、ここでアウトプットしてみました。
それにしてもチームリーダー、大活躍でした。自分も知らなかった開発の意図やスクラム導入のきっかけがわかって、本当に有意義でした。(どなたが僕のリーダーかは伏せます笑)
登壇される方々が口々に絶賛する「カイゼン・ジャーニー」、そして今月17日に発売される新作「チーム・ジャーニー」を執筆した市谷聡啓さんは明日の10時から登壇予定です。見たかったなぁ。
新作は会場内の売店で10%引きで販売してます。僕も買いました。
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