日本のすばらしい山が100選定された、日本百名山。
そのうち、最も低い山なのが筑波山である。877mという低さにもかかわらず、平らな田園地帯にボコッと飛び出ているので山頂からの景色が壮観なことで知られている。平たい関東平野では数本の指に入るほどの山。
山頂の景色は本当に壮観だった。是非実際に訪れてほしいが、まずは360度画像で味わっていただきたい。
日本一低い日本百名山の山
日本全国のハイカーにとって、百名山をめぐれば間違いないという指標のようなものになっている。
そもそも、日本百名山というのは文筆家で登山家の深田久弥氏が選定したものだ。「品格・歴史・個性」を兼ね備えており、原則として標高1,500 m以上の山が選定基準だったが、筑波山と開聞岳(鹿児島県)は例外的に1,000mに満たないながらも、富士山のようにすそ野からきれいにそびえる姿などが評価され選定されている。
筑波山の周辺はに筑波山の近くには断層も活火山もない。ゆっくりと隆起した硬い岩盤だというが、1万年あたり1~2m隆起して今の高さになったというデータもあり、それを踏まえていまの筑波山のなりになっていると考えると感慨深いものがある。(実際に登っている間はそれどころじゃないけど)
それもあってか、女体山山頂付近はゴツゴツした岩肌の箇所が多く、登るときには辛い場面も。途中には大きな岩で形成された名所が点在している。
ちなみに、筑波山は女体山(877m)・男体山(871m)の二つのコブを総称して筑波山と呼ぶ。今回はせっかくなので両方の山頂を目指した。どちらもケーブルカーやロープウェイで麓から行くこともできる。
今回の筑波山の登山ルート
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…っていうかこの地図、すごくない?
Wordpressに地形情報(GPXファイル)を取り込んでGoogleMapAPIと標高グラフが連動して表示されるAPIを入れてみただけど、手軽に導入できてこの完成度。恐ろしい。
今回のルートは筑波山神社入口のバス停から始まり、女体山山頂と男体山山頂を経由して筑波山神社入口まで戻ってくるという、5時間くらいの行程。
初心者向けの山ということで、あまり気合を入れずに当日を迎えた。
つくばエクスプレスで、秋葉原から45分でつくば駅に着く。そこから「筑波山口行き」のバスにのり45分、田園風景を眺め「筑波山神社入口」バス停で下車する。
▲筑波山神社
麓の筑波山神社にてお参りし、登山の安全を祈った上で登り始めた。
白雲橋コースと呼ばれる、女体山まで約110分のコースを上る。道は階段状に整備されているところが多く、木々に覆われているので涼しくて歩きやすい。
ちなみに、ストックを持参したけど岩場が多いので手ぶらのほうが楽かもしれない。下りはストックが有ると負担が減って楽になるけど、今回の登山ではいらなかったかな、と感じた。
登山当日の天気は晴れだったが、早朝に一雨降ったようで、足元はひどくぬかるんでいた。
岩肌も多いので、泥で滑って危ない箇所もいくつかあった。
先述したように、山頂近くになってくると山肌がゴツゴツしてくる。「弁慶七戻り」「高天原」「胎内くぐり」などと名付けられた巨岩があり、バラエティ豊かなコースになっている。
▲今にも崩れ落ちそうな巨大な岩。
▲なかなか恐怖心を煽る腐った木の階段。ホラーゲームなら絶対崩れるやつ。
ちなみに、後で調べて知ったんだけど、衝撃的なことに筑波観光鉄道株式会社のホームページには登山口入り口から山頂までのストリートビューがある。
すげえな。でも誰が全部見るんだろう。
見よ!女体山山頂からの景観
女体山山頂は、断崖絶壁にある。けっこう危なっかしい岩肌だが、柵のようなものは設置されていない。それゆえ、こんな大自然の処女地を探検したみたいな写真も撮ることができる。
ん~気持ちいい。大自然。
360度、関東平野に広がる田園風景を地平線まで見渡すことができる。877mと低めの山ではあるが、近くに山が少ない分標高も高く感じる。普段、眺望皆無の奥多摩の山々を登っているのでこうしていい風景の山に登ると改めて「あぁ、自分の足で登ったんだ」と実感できる。
また、頂上付近にはアゲハチョウやらトンボがたくさん飛んでいた。
上野公園の鳩なみに人懐っこく、頭にもとまってきた。いやいや、こんなのアニメ以外で滅多にないでしょ。
飛んでいるトンボを素手でわしずかみする凄腕キッズもいた。
筑波山頂駅付近で休憩
女体山山頂から15分ほどゆるやかな道を歩くと、山によくある食堂兼お土産屋が立ち並ぶ広場に出る。
ケーブルカーの山頂駅や展望台もあるので、登山が難しいお年寄りや体の不自由な人、単に自分の足で登るのが面倒くさい人もこの辺で気持ちのいい景色とご飯を楽しめる。
▲みゆき茶屋。優しいご夫婦で経営しているようだ。
おいているのはどこも同じようなメニューで、店の感じ一緒なので、席に背もたれのあるこの店に決めた。
そして、どこの店でも共通の看板メニューで掲げられている「つくばうどん」なるものを頼んだ。
筑波山に売ってるからというのと、「つ=つくね、く=黒野菜、ば=バラ肉」というのが名前とかかっているらしく、文字通り具だくさんなうどんが出てきた。
▲つくばうどん 1,000円
値段は山頂価格なので、文句はない。味も腹減ったし、口に入ればいい。
そう思っていた。
疲れと空腹でたまらずかきこんだわけだけど、これがびっくりするほどうまい。何がうまいって、つゆがとんでもなくうまい。
個性的な具材やだしを使って生み出されたわけではないはずなのに、信じられないくらいうまいうどんだった。語彙力がないので、無駄な食レポは避けておくけど、筑波山に行ったらつくばうどんを食べてほしい。この味は登山云々を差し置いても人に勧められるぞ。
オマケの男体山山頂
うどんがうますぎたので、しばらく後味を味わいながら休憩した。
山頂駅から男体山山頂は20分で登れる。正直男体山は眺望もソコソコで、女体山ほど登頂が大変ではないので、特に達成感はない。あくまでオマケ程度で考えておいたほうが良い気がする。
筑波山は、スカイスポーツのメッカと巷で呼ばれているらしく、この日も多くのグライダー(滑空式の飛行機)が近くを飛んでいた。パラグライダーなども近くでできるんだとか。そのうちやってみたい。
下りはスキップするように軽快に下った。ゴツゴツなので楽ではない。
降りたらやっぱり温泉
筑波山の麓には温泉旅館やホテルがいくつかあるものの、日帰り温泉の時間が15時までとか、16時までのところが多いので登山した後だとなかなかゆっくりできない。
しかし登山後の温泉は捨てがたい。
そこで利用したのが、神社から徒歩10分の位置にある「つくば湯」。
登山口から若干距離があるのと、入館料が土日・大人1300円と若干高めなのと、水風呂の水が循環してなくてぬるすぎることに目をつぶれば、ハイキングで疲れた体を癒せるうえ、19時まで営業しているので、ゆっくりお湯に浸かることができる。
筑波山神社入口から筑波駅行きの終バスが17:10なので時間に気をつけよう。
つくば湯からバス停まで、1時間毎に無料シャトルバスが出ているので利用しよう。
まとめ
本当に景色の良い山だった。都心からも近く、ケーブルカーでも、自分の足でも、比較的簡単に登れるので総合的におすすめできる山だ。