都内に住みながら都内の会社に勤務していた筆者ですが、コロナ禍が始まってすぐ、疎開するように山梨・峡東地方で在宅勤務(リモートワーク)をはじめました。
コロナと同時に在宅勤務を解禁する会社も増えましたが、2023年になった今、大手のIT企業では在宅勤務が廃止になるなど企業にとって選択を迫られる段階になってきました。
僕もWEB業界のSEとして在宅勤務で働くこと早3年。僕は幸い「地方で在宅勤務が自分に合ってるな」と実感しているし、職場もそれを支援してくれてます。
地方移住のよかったこと・都内のほうがよかったこと・在宅勤務が合っていると思う人を僕なりにまとめてみました。
山梨移住してよかったこと
山梨に移住してみて僕が感じたメリットを3つ紹介します。
①都内に出やすいわりに家賃が安い
山梨県は関東地方ではありませんが、首都圏に入っています。山に囲まれていて時間がかかるイメージがあるかもしれませんが、特急やら高速バスを使えば1時間半〜2時間くらいで都心に行けちゃうんです。
僕も都内のオフィスに出社するときは高速バスに乗って無料Wi-Fiで仕事しながら優雅に移動しています。
なんなら、僕は歯医者も都内で済ませています。県内の歯医者に車で片道30分かけて通うより、出社に合わせて会社近くの歯医者に行ったほうが断然楽ですからね〜!
JR中央線 特急あずさ/かいじ | 1時間25分 | 3,890円 |
高速バス(富士急行/山梨交通/京王バス) | 2時間13分 | 2,200円 |
高速バスのバス停の近くに住んでいるということもあり、出社するときも駅やバス停まで車で行く必要がないのがチョー便利。賃貸も駅近物件は少し高かったり空室がなかったりしますが、バス停が近い物件は結構穴場ですよ。
都内では駅から遠いオンボロ1Kアパートを6万4千円(かなり安い方)で借りていましたが、山梨では2DKの駐車場付き築浅アパートで5万円台で住めちゃいます。
②平日の通勤ラッシュ、休日の渋滞からの開放
満員電車、香水や体臭、遅延、乗換、座れるか座れないかの駆け引き、目の前でケンカ勃発など…都内で電車通勤するのはほんっっとうにストレスですよね。
僕も新卒から2年間、片道1時間半の電車通勤をしていましたが、会社に到着するころには毎日心身疲れ果てていました。
通勤時間に読書したりドラマを観たりと時間を有効活用したりも試してみたものの、どうしてもネガティブな要素が気になってしまうもの。
車通勤なら快適かというと、そうでもありません。運転中は他のことはできないし、寒い日はフロントガラスが凍結、朝夕の渋滞や無謀運転にイライラしたり…
結論、通勤なんてしないに越したことないのよ。
家から出る理由がなくなるので運動不足になるというデメリットはあるものの、不快な通勤が回避できるというのが在宅勤務の一番の利点ですね。
さらに地方に住むメリットとして、週末のレジャーのお出かけがしやすいという点があります。
土曜の朝は都会から地方へ向かう高速道路がとても渋滞するし、日曜の夕方は逆方面が渋滞しますよね。地方に住んでいればキャンプ・登山・釣り・スキーなど趣味をしやすいし、観光地に行くにも、渋滞とはほとんど無縁です。通勤だけでなく、お出かけの移動時間を大幅に減らせるのはファミリーにとって重要です。
③会話をする回数や、知り合いの人数が急増
意外かもしれませんが、地方に引っ越してから人と話す回数が急増しました。都内で一人暮らしているときは会社内と、同僚との飲みくらいしか話すことがなく、仕事柄会社でもほとんど会話せず1日を終える日もザラでした。
僕の場合、結婚と同時だったので当然といえば当然ですが、山梨に引っ越してからは妻以外にも親族やご近所さん、友達、友達の友達など、沢山の人が毎日のように遊びに来たりしていて、「田舎ってにぎやかで楽しいなぁ…」と思いました。
そしてコンビニの店員さんや道ですれ違う人、公園で散歩している人なんかに挨拶されたり話しかけられることもあるのが田舎。これ、苦手な人は苦手かもしれないですが、朝散歩してるときに中学生に大きな声で挨拶されるのは気持ちがいいです。
逆に、プライベートでの会話は増えたものの、仕事のコミュニケーションや雑談は圧倒的に減りました。在宅勤務の最大のデメリットは間違いなくコミュニケーション不足なので、チームや会社単位での取り組みが必要かもしれません。
都内在住のほうがよかったこと
続いて、逆に山梨より都内のほうがメリットを感じられていたことも紹介します。
①毎日忙しくて「成長してる感」、「頑張ってる感」があった
都会は娯楽も多ければ、勉強する場、不特定多数の人と出会う場なんかもたくさんあります。
予定を入れようと思えば毎週講演会に行ったり、SNSで知り合った人と会ってみたり、行ったこと・やったことがないことに挑戦したりできていました。
地方ではイベントやコミュニティがないわけではないですが、コロナ禍の波もあり、数も少なく人数も集まらないのが現状です。頑張りたい若者は都会に出ていっちゃうのかな。
②地方ならではの悩み(暑すぎ寒すぎ、畑が臭い、農耕車がうるさい…)
山梨県民は口を揃えて言っていますが、甲府盆地に住みにくい一番の理由が「夏暑くて冬寒い」ところです。
朝晩の気温差が大きく夏は湿度が高く冬は湿度が低いわりに、住宅の断熱性能は温暖な地域と変わらないので、気温の面では辛い思いをするかもしれません。
あと、田舎って「クリーンで空気が美味しくて静か」っていうイメージがあると思います。間違ってはいませんが、自然が豊かだからこそ農業というものと共存することになります。
具体的には、畑や田んぼが近いとこんなことが起きます。
- 焚き火(野焼き)、肥料が臭い
- コバエ・蚊・ハエ・その他あらゆる虫が多い
- 鳥に果物・野菜を食べられる、巣を作られる、フンを落とされる
- 草刈り機、トラクター、消毒の音がうるさい
- 風が吹くと砂埃が入ってくる
僕個人の意見としては、周りの音や視線が多くて息苦しい都会の空気よりも、多少虫やら煙が入っても開放的で自然を感じられる環境のほうがいいかな。とも思ってます。
地方で在宅勤務が向いている人
①出社にストレスを感じている人
コロナ禍前から出社することでストレスを感じていた人にとっては、在宅勤務によって開放されるかもしれません。
- 周囲の音が気になる(話し声、咳・くしゃみ、ため息)
- 人の匂いが気になる(タバコ、汗、香水)
- 周りの目が気になって定時退社しづらい
- サボってる人が気になる
- オンオフを自分で切り分けたい
- 家族の顔を1秒でも長く見たい
自分が過敏なだけかもしれませんが、匂いとか音が結構気になっちゃう方で、さらに自分が忙しいとき暇そうにしてる人を見るのが嫌なタイプなので、そのへんの情報がシャットアウトされることで集中して仕事できるようになりました。
②急きょ出社を求められない・出社しなくても仕事をこなせる人
前提として、働いている会社や取引先が在宅勤務できる職種・企業ではないと在宅勤務はできません。
なおかつ、急な出社・出向があるような業務(オンプレサーバーのインフラエンジニアとか)だと難しいかもしれないですね。
今はコロナ禍によって在宅勤務OKの企業もかなり増えたので、今の職場がダメでも転職によって叶えられる可能性も。
③家族・恋人・友人が地方にいる人
「え、ひとりがいいんですけど?」って方もいると思います。…孤独な地方在宅勤務はかなりしんどいと思います。前述の通り、地方は娯楽も刺激も都会ほど多くありません。ちょっと1人で飲みに行ったり遊びに行ったりするハードルも高いので、近くに家族や友人がいるというのは心強いと思います。
シェアハウスで友人と住んだり、実家で家族と住んだり、アパート借りて恋人と住んだり…住むまでいかなくても、仕事終わりに友人と話しながらゲームしたり、週末に気の知れた人と会ったり、仕事以外で話せる人を持っていることはメンタル面に関わります。
また、山梨はファミリー移住もおすすめです。子どもが遊べる観光地も多いし、前述のようにキャンプや登山などアウトドアで伸び伸びと成長させられる環境が揃っています。
待機児童が0だったり、子どもの保育料・医療費が免除されたり(市町村による)と子育てのしやすさを実感しています。
③車を持っている or 持ちたい人
最後にいちばん大事なこと。免許を持っていない、車には乗りたくないという方。
さようなら!残念ながら山梨県では生きていけません…!
電車や高速バスが便利というふうに冒頭に書きましたが、それはあくまで都内に出社するときだけの話です。普段の生活で買い物したり銀行に行ったり遊びに行ったりするのに、地方では電車やバス、原付だけでは厳しいですよ。
都内ではカーシェア・レンタサイクルなどの選択肢も増えてきましたが、地方ではまだ発展途上。中古車の値段も高騰していて、新車の納期も伸びている厳しい状況ですが、1人1台は欲しいところ。地方では車は贅沢品ではなく必需品なのです。
えっ…?「家賃が浮いた分、車の出費が増えたら意味ない」…?
車って便利で楽しいですよ!!買いましょう!!
さいごに
「地方移住で在宅勤務なんて、いいなぁ…」なんて初対面の人からよく言われますが、僕はいつも「いやいや、大変なこともありますよ」って言いながら(いいでしょ?)って思ってます。
人混みが苦手で自然が好きな僕にとっては、地方移住して良かったことだらけでした。地方の魅力をみんなに再認識してもらうことで、都会以外でも活気が出てきたらいいなと思います。