InstagramをはじめとしたSNSの流行で、近頃“インスタントカメラ”、“フィルムカメラ”が再び脚光を浴びています。
デジタルには表現できない質感や、スマホで撮る写真と違い、見たままの写りにするのが難しいという特性を、アート的な魅力と捉える人が増えたのかもしれませんね。
僕もフィルムに魅せられたうちの一人。フィルム時代の機械式レンズ、いわゆる「オールドレンズ」についての魅力と作例を紹介します。
僕もフィルムに魅せられたうちの一人。フィルム時代の機械式レンズ、いわゆる「オールドレンズ」についての魅力と作例を紹介します。
▼カメラについての記事はこちら。
【NIKON】僕が使ってるカメラ紹介します(デジタル・フィルム)
フィルム時代の単焦点レンズ
フィルム全盛期だった(というかフィルムしかなかった)時代は、「単焦点レンズが主流」でした。
「単焦点」とは、焦点距離が変えられない、つまりズームができず一定の画角しか写せないレンズ。
いまとなっては、「標準レンズ」といえば広角から若干の望遠が使えるズームレンズを指しますが、当時は技術的にも比較的つくりが単純な、50㎜の単焦点レンズがいちばん流通していました。
現在でも、ズームレンズは単焦点レンズに比べて暗く、重くなる傾向があります。ズームできないという潔さとシンプルな機構によって、軽くて明るい、壊れにくいというメリットが単焦点レンズにはあります。
NIKKOR-S Auto 50mm F1.4
(NIKON D7200 50mm f=1.8 SS=1/1000s ISO=100)
種類 | 単焦点 |
参考価格(定価) | ¥7,980(?) |
重さ | 354 g |
発売年 | 1962年 |

ニコンが初めて一眼レフカメラを発売したのが1959年、そしてこのレンズの発売は1962年。始まりにして傑作のレンズです。
一眼レフカメラ交換レンズの祖ともいえる存在で、ボケの感じや、合焦した部分のキリっとした描写は素晴らしく、長く愛されています。
50年以上の歴史がありながら、未だに中古価格でも1万円近い値段という人気っぷり。NIKKOR初期のレンズであるにもかかわらず、現代の機種にも互換性があるのも、本当に凄い。
作例
全体的に柔らかい風合いでありながらカリッとした表現がよきです。
デジタルで撮ってもフィルムっぽい質感が出やすいです。
初期タイプならではの、非Aiという難点
このレンズの注意点は、「非Ai」という点です。
1980年ごろ以降に作られたレンズは「Ai(Automatic Indexing)」と呼ばれる、レンズ側の絞りをボディに伝える機構(ツメ)がついています。
しかしこのレンズには、それ以前のレンズにはその機構がなく、Aiレンズの装着を前提とした現行カメラには、カメラ側のツメが干渉してはめられない。一応、Aiに移行が進み始めたころのフィルムカメラには、非Aiレンズを装着するためにツメを引っ込める機能がありますが、現在では非対応の機種も多いです。
最近のデジタルカメラに装着するには向きません。いや、完全に装着できないという訳でもありません。ツメが干渉するものの、はまる機種もあるので。
僕の持っていたD5200にも力を入れればはまりました。(絶対に真似しないでね)
ニコンのフィルムユーザーなら一度は触ってみたい原点の一本。
Ai AF NIKKOR 50mm F1.4D
(NIKON D7200 50mm f=2.8 SS=1/5000s ISO=160)
種類 | 単焦点 |
参考価格(定価) | ¥33,672(¥37,179) |
重さ | 231 g |
発売年 | 1995年 |

これ、僕がいま一番好きなレンズです。
ちなみに、上記で紹介したNIKKOR-S Auto 50mm F1.4の、後々継種にあたるレンズになります。
F1.4という規格外の明るさを持つオールドレンズがどうしても欲しい…!でも、先述の通り、非Aiは互換性が低く使用をためらっていたので、後継機のAi対応レンズがいい!ということでこの「Ai AF NIKKOR 50mm F1.4D」の購入を決めました。
現行のデジタル機種のオートフォーカスにも対応しており、ISO調整、ピント調節、F値調整がすべて現行機でできるという、究極な互換性を持つオールドレンズ。(だと僕は勝手に思っている。)
とにかくオートフォーカスは便利すぎます。瞬時にピタッと決まるし使い勝手が良すぎる。
ちなみにこのレンズの発売は1995年。僕とは1歳差で、フィルムカメラの歴史をみると比較的新しいレンズ。でもやっぱオートフォーカスなのはすごい。
“オールドレンズ”の定義は一般的にもあいまいだが、「フィルムが主力だった時代に存在したレンズ」とするならば、デジタルの市場がフィルムに勝ったのは2005年ごろ。ボーダーは2000年以前といってもよいと思う。
僕はたまたま、発売当時にこのレンズを買ったおじいちゃんが、今まで大事に使っていたというレンズをメルカリでゲットすることが出来た。
(まさか70歳でメルカリにレンズを出品するとは…)
20年使ってたらしいけどほぼ新品ですごい pic.twitter.com/QKSARBL70Q
— はしのさん@あおたび。 (@tatsugooon) 2017年7月1日
特に僕が好きなのは「柔らかな色彩と柔らかなボケ、かつカリッと描写できる」ところ。
最近のレンズはフレアやゴーストといった、余計な光や影を極力カットしようと日々進化している。でもこのレンズは、フレアもゴーストもほどよく写りこむ(ゴーストと言ってもオバケが写るわけじゃないです)。
フィルムカメラの奥深い写りをデジタルでも再現するにはもってこいのレンズです。
作例
その場の臨場感や雰囲気がそのまま出るような気がするし、あえて光を多く取り込んだんです、みたいなプロっぽい言い訳もできます。
またレンズがF1.4とかなり明るいため、暗い部分の描写も得意。映画に使われるカメラなんかも暗い部分の描写に強いので、雰囲気ある映像が録れるかもしれません。
フィルム時代のズームレンズ
Nikon Series E Zoom 36-72mm F3.5 AIS
種類 | 標準ズーム |
参考価格(定価) | ¥(¥45,000) |
重さ | 380 g |
発売年 | 1981年 |
個人的に、フィルムカメラでズームレンズを扱うのが苦手なので、持ってはいるけどほとんど使ったことがありません。
最近のレンズとは勝手の違う、「直進式」のズームが特徴的。
しかもこれ、なぜか引きが望遠側で、伸ばすと広角側になります。(最近のズームレンズは望遠にするとレンズが伸びる)
長所は、ズームレンズとしてのバランスの良さと、手軽さ。
ズームレンズであるにも関わらずF3.5通しと明るく、ズームした時のボケも癖がなくきれいに収まるし、淡いめの色彩でいかにもオールドレンズという写りを出してくれます。
36-72mmという範囲が使いやすいかどうかは人によるとは思うけど、肉眼に近い36㎜から中望遠の72㎜までというのは、一番便利な範囲かもしれません。
380gという重さは、ガッシリとした金属とガラスが素材という当時のズームレンズとしては、比較的小型・軽量で持ち運びやすいレンズだったと思われます。
短所は、最短焦点距離が1.2mとかなり長いこと。
最近のレンズであればたいてい2~30cmの距離があればピントが合うけど、このレンズは被写体が1.2m以内にあるとお手上げという、ちょっと扱いにコツがいるレンズです。
そのほかのレンズ(トイレンズ)
オールドレンズでもデジタルレンズでもない、お遊び用のレンズも紹介します。
HOLGA HL-N(BC) 60mm f/8
HOLGAのレンズ買ってみたけど撮るの難しすぎwww 練習しよww pic.twitter.com/IiLu66lnGc
— はしのさん@あおたび。 (@tatsugooon) 2015年4月14日

Amazonで3000円位で買ったトイレンズで遊んでみたこともあったけど、癖が強すぎてほとんど使ってません。笑
とにかく暗くて、ISO感度とシャッタースピード、F値、ピントをすべてマニュアルで設定しなければいけないので、究極に難しいという。
ただ、トイレンズ自体に「失敗したような写真」を楽しむという節もあるので、ある意味ここからアートな感性を養える…のかもしれない。あと、これで練習すればマニュアルに強くなりそう。しらんけど。
とりあえず、使い続ければ写真が上達するかというと、怪しい!笑
僕のカメラとデジタルレンズも別記事で紹介してます。よろしければ〜!!
▼僕の使ってるカメラ
【NIKON】僕が使ってるカメラ紹介します(デジタル・フィルム)
▼僕の使ってるレンズ(デジタル編)
【NIKKOR・デジタル編】僕が使ってるレンズ紹介します(作例あり)