僕もよく旅行先で写真を撮るんですが、旅先で怖いのはカメラやSDカードの紛失、データの破損、そして誤って大事なデータを自分で削除してしまったとき。
そんな冷や汗ダクダクなことが起きても、まずは落ち着いて。「ファイル復旧ソフト」で復旧できるかもしれません。
どうも。はしのです。この記事は「大切なお宝フォルダをオカンに消されたうえにゴミ箱も空にされた」というような罪なき少年少女を救う(かもしれない)記事です。イーザスソフトウェアさんの提供でお送りします。
一度間違えた選択や壊れた人間関係は、時としてどんなに頑張っても修復できなかったりしますが、PCにおいては「元に戻す」ボタンやデータの復元ソフトという魔法のようなツールがあります。
僕も昔はPCの知識が浅いまま、消してはならないファイルたちを削除したり、間違えてHDDをフォーマットしたり、今ではありえないことをたくさんやらかしました。当然、当時は消えてしまったものはもう無理だと思って泣き寝入りしていたんですが、デジタルの世界はシビアそうに見えて意外と義理人情の深い世界なんです。笑
消してしまったデータも、デバイスの”お情け”で見えないところに取っておいてくれて残ってる可能性が高いんですね、これが。
ちなみに、ソフトで元に戻せるのは基本的に「論理障害」と呼ばれる場合のみです。SDカードやHDD(ハードディスクドライブ)が物理的に壊れている「物理障害」の場合は業者に依頼しないと復旧は難しいです。
『EaseUS Data Recovery Wizard』を使ってみるよ
フォーマットしてしまったディスクや、HDDの破損、OSのクラッシュなどにも対応した『EaseUS Data Recovery Wizard』は、データ復元ソフトでは名の知れた存在らしく、調べてみると良い評判が比較的多い。いつの時代も、価値基準として「口コミ」の存在は重要です。先人たちに倣い、ここは素直に使ってみましょう。
僕はとりあえず、有料版の体験版を入れてみました。
インストールしてソフトを起動すると、エクスプローラのようなシンプルな画面が出てきます。操作性も単純明快で、説明なしでスイスイ操作できました。
「ハードディスクドライブ」の欄にはPCの内蔵SSD(Cドライブ)、内蔵HDD(Eドライブ)が表示されていて、回復(*:)、ローカルディスク(*:)、紛失パーティション-1という謎の項目もあります。
外部ドライブにはSDカードリーダで差し込んでいるカメラ用のSDカードが入ってます。
今回はこのSDカードでいろいろと検証してみることにします。
試しにフォルダの中をのぞくと、削除したはずのファイルがモリモリ出てきます。
ドキュメントや画像、動画、音声ファイルのプレビューが可能で、比較的サイズの大きい動画ファイルもちょいちょい途切れはするものの(SDカードの転送速度のせいかもしれないけど)再生可能でした。
「リカバリー」のボタンを押して指定のフォルダにファイルをダウンロードすると、見事消したファイルが復元されていました。
体験版と無料版と有料版の違い
業者に頼んだ場合(相場)
業務で使用しているHDDやサーバのドライブでデータを紛失したり破損してしまったりした場合、業者による大掛かりな修復を依頼することになるみたいです。
ソフトの値段の話をする前に、参考として「業者にデータ復旧を依頼するとどのくらいかかるか」を調べてみました。
論理障害の場合 | 5~20万円 |
物理障害の場合 | 10~70万円 |
たけェ!!
お宝画像HDDとか、入っていたのがたいしたデータではなければ泣き寝入りですみますが、企業が持つ顧客データ満載のHDDとかだったら、賠償うんぬんを考えたら安いのかも。HDD自体の紛失じゃないから賠償しなくていいのかな。
どちらにせよ、本格的に業者に復旧を頼むとえらい金額になることが判明しました。
『EaseUS Data Recovery Wizard』の場合
EaseUS Data Recovery Wizard Professional (無料体験版) |
無料 (プレビューのみ) |
EaseUS Data Recovery Wizard Free | 無料 (500MB復元可 ※SNSシェアで+1.5GB) |
EaseUS Data Recovery Wizard Professional | 9,750円+税 |
EaseUS Data Recovery Wizard Technician | 58,000円+税 |
『EaseUS Data Recovery Wizard』は使用できる機能の違いで4種類に分かれています。
無料体験版は復元可能なファイルのプレビューはできますが復元は一切できません。ここでのプレビュー可能なファイルは有料版でも変わらず、無料体験版でプレビューできないファイルは有料版でもプレビュー・復元は出来ないらしいので注意です。
Free版は500MBまでの復元が可能で、SNSでシェアすることでさらに1.5GB分が追加になり合計2GBのデータ復元が可能になります。つまり、無料体験版を使うくらいなら無料版を入れたほうがいいと思います。復元容量の上限が2GBとなると、「あのデータ消しちゃったけど、アチャー!ゴミ箱も空にしちゃった!」程度の状況には対応できるかもしれません。
でも、SDカードやHDD、SSDの内容をまるごと復元したいという状況になると、最近のフラッシュメモリーは大容量になってきていてとても2GBでは心もとないので、そういうときに復元容量無制限のProfessional版を使うことになるんじゃないかと思います。
Technician版は衝撃の価格ですが、購入するとソフトの無限使用権を与えられるので、主にクライアントを複数抱える企業などがターゲットですね。個人にはあんまり関係ないはずなので、個人でガッツリ使いたい人はProfessional版ですね。
まずは焦らず無料版でそもそも復元したいデータが本当に復元が可能かということを調べて、いざ本格的に復元したいとなったら有料版を買うのがいいと思います。今回の検証ではイーザスソフトウェアさんにProfessional版を提供いただいたうえで行いました。
また、SDカードにも種類があります。
- SDカード(最大容量2GB)
- SDHCカード(最大容量32GB)
- SDXCカード(最大容量2TB)
これらの違いは最大容量の違いくらいなので、今回の記事ではどれも同じものとしてSDカードと表記します。(カメラ側で使用可否があるので注意)
そのうえで、素人なりに色々と検証してみました。
(検証)消したSDカードのデータ、どこまで復元できるのか?
1.EXIF情報もフォルダ階層も復元できるのか?
まず試しに、普段使っている32GBのSDカードに、なんか残ってるものないかなーとスキャンをかけてみます。
デジタル一眼レフカメラは基本的にSDカードに画像が記録されていきます。
僕の場合、カメラのデータは一度出掛けてある程度撮ったらまるごとPCにコピーして、PC側でSDのファイルを削除してます。今回は、前回1000枚くらい撮った写真をコピーしてから、全て消して新たに100枚くらい写真を撮ったうえで、復元を試みてみます。
結果、JPEG画像もNEF画像(NIKONのRAW形式)も、MOV形式の動画ファイルも含め、削除していたほとんどのファイルのプレビュー・ファイル保存が可能でした。っていうか84.87GB分も検出できてる!!すげぇ!!(実際にデータとして復元可能なのはSDカードの容量32GB分以上にはなりませんが)
復元可能なデータの多さには正直ビビりました。
ただ、復元可能なデータが800ファイルくらい連番でずらりと並ぶ中、途中の38ファイルだけがプレビューも復元もできませんでした。このへんは削除の過程で運悪く破損してしまったファイルたちなんでしょうかね。
ちなみに、画像のEXIF情報もばっちり復元されてました。
一部のファイルのファイル名の先頭の”D”がなぜか”#”になっているくらいで、それ以外はほぼ元の情報を復元することができました。ファイル名が変わっていない、完全な状態のファイルもあったので、その辺は「運」です。笑
つまり、復元したデータはフォルダ階層もプロパティ情報も復元可能といえます。
2.PC側でクイックフォーマットしたSDカードのデータは?
PC側でカメラのSDカードのフォーマットをすることは、ファイルシステムが変わってしまう可能性があって、撮影時にファイルを破損させる可能性を生むNGな行為なんです。詳しくは以下で解説されています。
そんな御法度行為だけど、やっちゃおう。
JPEG画像+NEF画像+MOV動画あわせて316ファイル、4.7GB入ったSDカードをPCで無理やりフォーマットしてやります。
ファイルシステムはFAT32にして、クイックフォーマットに入れて開始を押すと…
消えたぁぁぁぁぁぁぁァアアアアア!!!!!(当たり前だろ)
『EaseUS Data Recovery Wizard』でフォーマットしたSDカードをスキャンしてみます。
予想は出来てましたが、見事に復元できました。
検出できたファイルは77.98GB分で、その中でファイルとして復元できたファイルは24.81GB分でした。フォーマット時点で消えていたファイルもバッチリでしたが、フォーマット前に検出した容量は84.87GBだったので、6.8GB分はフォーマットにより暗雲の中へ消えていったことになります。
つまり、PCでSDカードを初期化(フォーマット)しても復元可能といえます。
3.カメラ側でフォーマットしたSDカードのデータは?
PCでファイルを削除したりSDカードをフォーマットする他に、カメラにもSDカードをフォーマットする機能があります。PCのクイックフォーマットとの違いは、ファイルシステムをカメラの書き込み形式にあったものにしてくれることと、ファイルを全削除したうえでカメラ用のフォルダ構成と管理ファイルを作成してくれることです。
これを実行してからスキャンしたところ、スキャン結果はPC側でクイックフォーマットした場合と全く同じでした。
つまり、カメラ側でSDカードを初期化(フォーマット)しても復元可能といえます。
技術的な限界もありそう
1.PC側で標準フォーマットしたら?
SDカードやHDDなどの記憶媒体には、「ファイルを記録する容量」と「記録されたファイルを管理する容量」があります。もっと簡単に言うと「マンションの住人」と「マンションの管理人(大家)」みたいなものに分かれています。
さっきやったクイックフォーマットは、データの管理領域を削除して、ディスクの不良セクタをチェックするという役割があります。マンションで例えると、マンションの民度が低いから管理会社を変えようといって前のマンションはなかったことにするけど、不良ではない住人には今までの生活を復元する権利があるみたいな感じ(ちょっと無理がある)。
フォーマットしても、データ自体は消えずに隠れた状態で残ってるんですね。
となれば、検証するしかありません。
「クイックフォーマット」のチェックを外して、フォーマットをしてみます。今回はやたらと時間がかかりました。
しばらくしてフォーマットが完了します。『EaseUS Data Recovery Wizard』で再びSDカードをスキャンしてみます。
あっ…消えちゃった。
一応、クイックフォーマットも標準フォーマットも、論理的なフォーマットなので他のファイルに上書きされない限りは完全に抹消することはできないらしい。けど、消えちゃった。念のためもう一度スキャンしてみましたが、結果は変わらず。お手上げのようです。
標準フォーマットしたSDカードは、1ファイルも復元することができませんでした。
2.スキャンにちょっと時間がかかる&残り時間があてにならない
ドライブのスキャンは1回1回時間がかかります。大事なデータを失って心に余裕がない人にとって、この時間は気が気でないと思います(笑)
32GBのSDカードの場合、スキャン完了までにかかる時間は10分弱~15分といったところ。これは、復元可能なファイルが1つもなくても、ディスクの容量の3倍くらいあっても同じくらいかかりました。
しかしこれはディスクの読み取り速度に左右されているような気がしてなりません。SDカードの場合、SDカードリーダの転送速度で遅くなったりするし、117GB分の使用可能容量のある128GBのSSDは、7分ほどでスキャンが完了したりと容量とスキャン時間は比例してなさそうです。
ディスクのフォーマットも同じくらい時間がかかるし、信じられないほど遅いということではないです。ソフトに身を委ねてじっくり待ちましょう。
また、残り時間の表示はカウントダウンされるものの、残り時間が0になると1分追加されてまたカウントダウンが始まります。正直あんまりあてにならないです(笑)
3.LINEのトーク履歴など、アプリデータの特殊な復元はできない
これに関してはデータの復元というか、アプリによって暗号化されたものをどう解析するかみたいな分野になってくるのかもしれませんが、そういう問題はモバイルの復元に特化したソフトでないと難しいです。
▲同じEaseUSさんのソフトに『MobiSaver』、『MobiSaver for Android』というものがあります。
僕が過去実際にやらかした事例で、スマホのデータを新しいスマホに引き継ぐときに、LINEのトーク履歴を保存しないで引き継いでしまって、トークが全て消えてしまったことがありました。大事な思い出もそうですが、なによりメモ代わりに予定をトークに保存してたりしたので一大事です。
モバイルのデータ復元には、また別の専用アプリを使う必要があるんですね。
さいごに
情報化社会の今、写真も音楽も全部まとめてスマホやPC、USBに入れちゃってます!!なんて人もいいんじゃないでしょうか。
でも、データは思い出以上に儚いもの。スマホやUSBをなくしたり、盗まれたり、落としたり、間違えてデータを消したり、バックアップしていなかったら。大切なデータは一瞬にして消えてなくなります。
バックアップは大事ですが、常に新しいデータをどこかに複製しておくのは不可能だと思います。カメラのSDなんかは特にそうで、PCに取り込むまでバックアップできず、その前に壊れてしまったら取り返しがつかないですよね。
今回は『EaseUS Data Recovery Wizard』の紹介をさせていただきましたが、僕も記事を書いていて改めてデータの尊さに気づいた反面、「意外と消しちゃったデータって残ってるもんなんだな~」と油断のスキが生まれたのでありました。