名画のモデルになった御射鹿池(みしゃかいけ)という池が長野県にあります。
今にも白馬が現れそうな神聖な池には、実は意外な誕生秘話がありました。
こんにちは。この間、24回目の誕生日を迎えたはしのです。今年も笑って過ごしていこうとおもいます。
御射鹿池ってどんな池?
とにもかくにも、語るより見ていただきましょう。
東山魁夷「緑響く」
「YPC | Yaezawa Print Collection Official Website」より
そう、この有名な絵画のモチーフになったのが、この御射鹿池なんです。
日本の絵画界では巨匠とされる、東山魁夷(ひがしやまかいい)が1982年に発表した絵画です。森に囲まれた静かな池の畔に1頭の白馬が歩いている絵ですが、シンプルな構図の中に神秘的な雰囲気が凝縮されています。
1999年に他界した東山魁夷氏ですが、探してみたら復刻版画が約400万円でネットで売られてました(笑) いまだに相当な人気なのが伺えます。
SHARP「AQUOS」テレビCM
そして東山魁夷の「緑響く」をさらにモチーフにした、2006年ごろから放送されたSHARPの液晶テレビ「AQUOS」のCM。
吉永小百合さんが絵画の世界に入って池の畔を白馬とともに歩くという幻想的なCMです。
ただし、当然ですが実際に白馬がいるわけではないです。このご時世、「※ 実際の池には、白馬はいません。」とテロップを入れないと苦情が来そうですが、白馬がいなくても十分この池は神秘的な雰囲気があります。
が、一応念押しのため言っておきます。
※ 実際の池には、白馬はいません。
神聖な由来とかあるのでは…⁉
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こんな、いつ白馬が現れても不思議ではない雰囲気をもつ池は日本にそうそうないでしょう。こんなに美しいからには、「木こりがオノを落としたら美人と金のオノが出てきた」みたいな言い伝えが誕生しているんじゃないか。神聖なものをまつってたり、昔話の舞台になったりしてるんじゃないか。
そう思って調べてみると、全然違った。
正体は農業用のため池
御射鹿池の歴史をたどると、江戸時代までさかのぼります。
江戸時代、地域の農家が農業用水を確保するために、横山渓谷に水路を作ります。が、標高が1540mと高いため、水が冷たすぎて思うように作物が育ちませんでした。
そして昭和8年に、水を貯めて温めておくために、この御射鹿池という人工の農業用ため池を造りました。
それからは人知れず静かにたたずむため池でしたが、昭和57年に発表された東山魁夷の「緑響く」で有名になり、現在でも各地から観光客が訪れる池になったのでした。
この透明度にも理由が
白馬が水を飲みに現れても不思議ではないくらいきれいな透明度の理由は、単に山の湧水だから、というだけではありません。
奥蓼科温泉郷を中腹にもつ横山渓谷では、酸性の鉱泉が湧き出しています。
酸性の水では魚やプランクトンが生息できません。標高も高いため水温も冷たく、水流もなく食物連鎖もないので、必然的に透明度が高くなるんですね。なんだかある意味神秘的。
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無料駐車場と遊歩道で散策しやすさ◎
駐車場や池周辺の歩道は2017年6月に整備され、約20台の普通車用駐車スペースと数台の大型車用駐車スペース、仮設トイレができました。今まで停める場所が5台分くらいしかなくほとんどの車が路上駐車していて大変なことになっていましたが、それも解消しました。
ただ、大型バスが停れるようになったので、今後どんどん有名になって観光地化してしまうのかなぁと思うとちょっと寂しいですね。
池の畔は立入禁止ですが、歩道からも十分景色は楽しめます。
ちなみに、整備される前(僕が前回行ったのは2年半前)は水際まで入ることができました。
でも今思うとあれは柵がなかったからみんな入っていただけで、昔から立入禁止だったかもしれないな…。前述のように、農業用のため池なのでむやみに池に入ったり、環境を汚さないようにマナーを守りましょう。
▼(参考)整備前の御射鹿池
さいごに
オススメの時期は新緑の4月〜6月ごろ、時間帯は早朝。この時間だと、まさに「森響く」の瞬間に入り込める可能性が高いといいます。あ、白馬がいる可能性は限りなく低いですけどね(笑)
生まれた理由はただのため池とはいえ、「御射鹿池」という独特のネーミングは、地域の神事に由来していたり(日経MJより)、様々な条件を兼ね揃えたことでこの幻想的な風景を生んでいたりと、どこか神秘を持つ、魅力的なスポットです。