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【日本のスラム街】あいりん地区ってホントにヤバいの?大阪・釜ヶ崎を歩いて撮影して感じたこと

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大学時代に東南アジアを6カ国を旅したり、ある程度の「バッチい場所」、「危なそうな場所」には耐性がある僕ですけど、日本屈指の最恐スラム街『大阪あいりん地区』を散歩してみて、自分の知らない日本の現実に触れ、いろいろと考えさせられたので記事にまとめました。

この記事は、筆者の偏見と第一印象が多く含まれる記事です。該当地区の近隣にお住まいの方・当事者の方などが不快になる内容がある可能性がありますのが、ご容赦ください。

あいりん地区とはなんぞや

大阪の中心で”負のオーラ”を放つエリア

大阪市内の中心部、なんばや天王寺から徒歩圏内で、道頓堀・通天閣・あべのハルカスなどの観光名所からもほど近い釜ヶ崎・萩之茶屋周辺が、「日本で唯一のスラム街」という悪名を持つのをご存知でしょうか。

あいりん(愛隣)という名前、聞いたことある人はあると思います。これは住所や地名ではありません。かといって差別用語でもありません。過去、暴動が度々起こっていた釜ヶ崎地区に対して、行政やメディアが使い始めた歴史ある言葉です。

あいりん地区を簡単に説明するならば、「日本の闇とグレーが凝縮された地区」というべきなんでしようか。まさにアンダーグラウンド。

そんな地域を、新年早々に大阪在住の友人と散歩することになったんです。(なんでや。大阪ってもっと観光するところあるやろ)

なんか臭い。なんか汚い。なんか怖い。

199X年、世界は核の炎に包まれた――

 

・・・というほど世紀末ではありませんが、この地区に一歩踏み入れただけでヤバそうなオーラがプンプンします。実際、変なにおいもプンプンします

どんな匂いがするのかと聞かれたら難しいですが、確実に言えることは「このエリアだけ大阪のウマイモンの匂いがまったくしない」ということ。一応激安のたこ焼き屋とかお弁当屋はあるんですけど、おかしいなぁ。

雨も降っていないのに、道には正体不明の液体や水たまりがよくあります。ただの水なのか、飲み残しなのか、生活排水なのか…。たまに腐敗臭やアンモニア臭、酸っぱい匂いが鼻を突きます。
大量の回収されていないゴミ袋の山、廃墟なのか現役なのかわからない建物、ゴミ捨て場かと思いきや人間が住居として使っている小屋など、とにかく世紀末感が凄い。

だんだん気持ち悪くなってきました。さっき食べた串カツが出てきそう

日雇い労働者のメッカ「あいりん公共職業安定所」

新今宮駅の目の前にある築約50年の年季の入った大きな建物は、あいりん地区のトレードマーク的な役割をしています。

が、この建物は外見からして明らかに様子がおかしいんです。普通のハローワークでは正社員や派遣など、比較的安定した職に就く支援をしていて、例えいい求人がなかったとしても、ハローワーク前に泊まり込んでまで仕事を待つ人はいません。

あいりん地区の職業安定所では、日雇いの仕事のみが斡旋(あっせん)されていて、片付けや清掃などの雑用、工事現場での単純な力仕事からクレーン操縦まで、建設会社など公共事業の人手となるのが主な業務内容なんだとか。
日本人なら誰でも、住所によらず日本全国のハローワークを利用できます。が、なんらかの都合で定職に就けない訳アリな人たちが片道切符で西成に集まり、その日暮らしをしているんです。

行政からも見放されたハローワーク

各自治体には、失業者のための職業紹介をする公共施設「公共職業安定所(ハローワーク)」が用意されています。大阪労働局のHPを見ると、大阪にも16箇所のハローワークと7箇所の関連施設が用意されていることがわかります。→「ハローワーク一覧 | 大阪ハローワーク

しかし、どういうことか「あいりん公共職業安定所」の文字がどこにもない。
大阪労働局のHPでようやく「あいりん労働」という項目を見つけましたが、実はこのページ、サイト内でどこからもリンクされていません。
最初は悪意があるのかと思いましたが、なるべく一般人の目に付かないところに隔離したい存在なんでしょう。気軽に普通の人が訪れる場所じゃないもんな。

貧しいからあいりん地区で働くのか?

発展途上国のゴミ捨て場で、ゴミを拾って小金を集めてその日暮らしをしている子供のはなしなんかをたまに聞くじゃないですか。でも日本では憲法によって、全国民に「最低限度の生活」が保障されています。なのでそういった極貧困が生まれることはないはずなんです。

お金も家もなく、社会的な信用もないとなると定職に就くこともままなりません。そういった人たちが身分証明が要らない日雇い労働で生活費などを捻出しています。
さらに、あいりん地区のある西成区の世帯の1/3が生活保護受給世帯というデータがあります。生活保護は住所がないホームレスでも申請できるので、実際の受給者はあいりん地区だけで相当な数だと思います。
さらにこのエリアの地価・物価は周辺と比較してとんでもなく安いので、生活保護だけでも生活はできます。さらに日雇い労働で1日7000円~10000円を得られるとなると、なるほど、浮いたお金は娯楽にでも消えているんでしょうか。お酒やおくすり、夜遊び、ギャンブル・・・。

あいりん地区の住民が超貧困に見えるのは、単に「お金がない」わけではなさそう、ということがなんとなくわかりました。

激安ホテルの極み、簡易宿所(ドヤ)

▲アパート、マンション、旅館と書かれた看板が並ぶ。それにしても凄い自転車の量。

あいりん地区には1泊500円〜1200円のドヤと呼ばれる簡易宿泊施設が点在しています。ドヤは宿(やど)を逆さにした言葉で、これらは主に日雇い労働者のための布団と屋根がある本当に粗末な宿です。

ドヤがたくさんあるから、ドヤ街。
東京にも南千住駅の近くに山谷と呼ばれる旧ドヤ街があります。旧というのも、最近は外国人バックパッカーの間で「宿の安いエリア」という点が評価され、人気が出始め徐々に生まれ変わりを遂げているからです。
あいりん地区も喜ばしいことにバックパッカーの街として生まれ変わっていて・・・ということは残念ながらありません。外国人向けの格安ビジネスホテルこそ増えたようですが、新たな需要が生まれたところで根本的な治安が向上することには繋がっていません。

最近改装されたようなきれいな建物も多いですが、やはりどこか雰囲気が違います。
「月26,000円〜入居可!いろいろあります」という安すぎる上にアバウトすぎる表記のアパートの看板や、「入居費後払い可」というようなアパートがたくさんありました。

高い塀に囲まれた「西成警察署」

あいりん地区は日本で唯一暴動の起こる地域としても有名で、1961年から2008年までに24回の暴動が起きています。
1960年代は主に日雇い労働者の労働環境やヒエラルキーに対する不満が爆発したことを発端とする暴動で、70年代は左や右の翼の方が介入してより盛大になっていきます。
高度経済成長期が終わる1974年以降、暴動の頻度はかなり減ったものの、常に次の暴動がいつ起こってもおかしくない状況です。
個人的に、30年以内の発生確率は70%超だと思ってます(地震かよ)。

そんなあいりん地区を毎日監視しているのが、西成警察署

場所が場所なだけに、厳重な警戒です。
西成警察署は通称「要塞」と呼ばれるほどで、暴動に備えてなのか、窓は強化ガラスで正面玄関も含めて四方は鉄柵で塞げるようになっていて、立番は数人で常駐しているほどの堅牢さ。
こんな物々しい建物があったら治安も少しは改善するんじゃ・・・と思いますが、警察署から50mのドヤが覚せい剤の密売所になっていたり、目の前で喧嘩が始まったりするらしいので、改めてあいりん地区の恐ろしさが伺えます。

ちょうど裏口に警察車両が入っていくタイミングに出くわしましたが、車両が出入りするたびに数人がかりで警備をしながら、大きな分厚い鉄の門を開け閉めしていました。

警察署の横では、深夜のド○キに居そうな強面の男女が集まって、ボクシングのフォームを教えあいながら他愛もない会話をするという、平和な光景が広がっていました

暇を持て余したオッチャンが集まる「三角公園」

公園の形から通称「三角公園」と呼ばれる萩之茶屋南公園は、あいりん地区民が集う、憩いの場です。
あいりん公共職業安定所があいりんの「スカイツリー」だとしたら、ここは「デ○ズニーランド」。通りにはほとんど人気がないのに、公園だけやたら混雑しています。

さすがにここは雰囲気が強烈すぎて、中に入ることはかないませんでした。
公園内にはひどく簡易的な住居(ブルーシートやダンボール製)が複数存在していて、たくさんの人が立ち話しています。お祭りのような賑わいっぷりです。
実際、この公園では年間を通して何度かお祭りが行われるんだとか。どんな感じなんだろう。気になるけどぜんぜん行ってみたくないのはなんでだろう

炊き出しの会場になることもあります。炊き出しが行われる日になると、それこそアトラクション待ちのように行列ができるそうです。列を作るのは白髪とヒゲもじゃで日焼けした日雇い勤労者のオッチャンたちがメインで、配られるのは味気のないおかゆ。
先述のとおり、お金の使い方に対してのリテラシーがある人であれば毎日最低限の食事を食いつなぐことができるんでしょうが、日々劣悪な環境で生活している人たちなので、多分そういうわけにもいかないんでしょう。

炊き出し活動をしている「釜ヶ崎炊き出しの会」

釜ヶ崎解放会館という年季の入った建物があいりん地区中心部にあります。布製の看板はネットの画像で見ていたよりもボロボロになっていました。前には手作り感のある選挙カー(?)が停まっています。

ここは日雇い労働者の住所登録先として解放されたほか、1975年から30年以上続く炊き出しボランティア活動の拠点としても使われています。
ブルーシートやゴミに覆われた軒先からは炊き出しをする側なのかされる側なのかわからないような印象ですが、あいりん地区のホームレスの強い味方となっているのは間違いありません。

中心人物の労働運動家の稲垣浩さんは、1979年から大阪市議会議員選に毎回立候補しながらも、まだ当選したことがないそう。票集めの人気取りのためにボランティアしてるといって批判する人も多いそうですが、30年も無償で炊き出しをしているんです。さすがに相当な思いややる気がないと無理でしょう。
まあ、やる気が強すぎるせいか、何度か暴動のときに警察や行政と揉めて捕まっちゃってるんですけどね。

さいごに

「こんなところにも小さな命が・・・」って子猫たちと出会ってちょっとホッコリしたけど、こんなところに子猫だけって明らかに捨てられた可哀想な猫じゃん。って気づいて胸糞悪くなった。慈悲はないのか。

とにかく、生と死の狭間のような場所でした。こんなところ、興味本位で訪れるべきじゃありません

でも僕自身、生であいりん空気を吸って日本の最底辺と呼ばれる人たちを目の当たりにして、安全神話を当たり前だと思っていた自分の常識と現実の乖離を知ることができたし、幸せな日々に感謝することができたし、社会にはまだまだ問題だらけなんだなということを改めて考えさせられました

教訓としては、いくら物価がめちゃ安いからって、ジュースを50円で買いたいからとか、800円で泊まれるって聞いたから、みたいな理由でこの近辺に近寄らないことです。周囲には髭がボウボウに伸びた痩せこけたオッチャンや怖いお兄さんしかいないので、「自分の身なりはごく普通だ」という自負があるうちは、あいりん地区を訪れるには早いのかもしれません。

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【2019年2月17日 追記】

イギリスのあるテレビ番組から、実際にあいりん地区踏み入れた人間ということでインタビューを受けたので、そこで私が答えた内容を共有しておきます。(番組でメッセージが使われたのかは不明)

Q. あいりん地区の雰囲気は?撮影隊が入っても大丈夫か?

A. 私はタイやベトナムの貧困地域も歩いたり、そこで物乞いをされたりした体験がありますが、
三角公園やあいりんの暗い路地では、物乞いこそされませんでしたが、新興諸国と同様に「ヤバそうな雰囲気」を感じました。
三角公園には、寒空の下で昼間から数十人のホームレスがいて、数人ずつ集まって飲酒や喫煙をしながら会話していたり、
一人で公園内の住居でくつろいでいたりしていましたが、私の身なりや年齢が彼らと違うためか、ホームレスの方たちの視線を強く感じました。
そのため公園内に入ったり、立ち止まってまじまじと様子を眺めたりはできませんでした。

あいりん地区の撮影ということですが、私個人としては大丈夫かどうかは正直判断できません。
街を歩いた印象だけだと、比較的静かですし、身の危険やアウトローな瞬間に遭遇することはありませんでした。
ドヤに関しても、実際に泊まられた方の話では質素なだけで特に驚くことはなかったようです。
近隣の市街地とは異質な空気を感じたのは確かですが、街中には普通の(鉄格子がされていますが)小学校や幼稚園もあり
一見、治安が少し悪いだけの街、というだけの印象もありました。

ただ、事実かは定かではありませんが、ネット上にも書かれているように反社会的な団体の拠点とされていたり、
薬物の取引現場があったりという話もありますので、中には身元を隠したい方がいるのは確かだと思います。
私も撮影している素振りを見せないよう、スマホのみで撮影しました。テレビ局のカメラとなると…どうでしょうか。
とはいえ私は周辺の土地勘がありませんでしたし、歴史や事情をそこまで深く知らないため、
私が一番感じていたのは「タブーを見てしまわないか・触れてしまわないか」という恐怖だったように思います。

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