3日目だ。
今日の行き先は大体決めてある。
台北に来たら行っておけ!という場所。「九分(キュウフン)」に行く!(フンは「人」べんに「分」)
千と千尋の神隠しっぽい町並みがある、観光地として名高い場所だ。
インスタ映えスポットとして、最近また人気が出てきている。
10:10 台湾で食べる朝マック
今日はぐっすり寝た。9時間か10時間くらい寝た。
旅において寝坊は禁物だが、休息はそれ以上に大切。
昨日は一日歩き回ったから、太ももが若干筋肉痛だった。
すでに朝9時を過ぎていた。共用スペースにもドミトリーにも人はほとんどいなかった。みんなもうチェックアウトしていた。
さっとシャワーを浴びて、10時前にチェックアウトした。
朝の西門町は、昨夜の喧騒が嘘だったかのように静かだった。
とはいえ、繁華街だ。少しくらい営業している店があるだろうと思ったけど、どこもやってない。
朝の空気はジメジメした亜熱帯な雰囲気だった。
沖縄とか、シンガポールの空気と共通するものを感じた。
しばらく歩き回って、ようやく営業している飲食店を見つけた。
全世界の観光客の味方、マクドナルドである。
入ってみると、朝マック限定の見慣れないサンドイッチを見つけた。
台湾限定なのかな?…うまそう。
とりあえずそれを頼もうと店員に指さしで注文を試みると、怪訝そうな顔をして中国語で何やら説明してきた。
が、何を言ってるかわからない。
「Sorry…I can’t speak Chinese.」と伝えた。
申し訳ないけど、そう言えば向こうも英語で接客してくれるだろうと期待していた。
が、店員ははてな顔だった。
確かに、ちょうど10:30くらいで、朝マックと昼マックの切り替え時間だった。
「Off hours? Daytime onry?」と聞いてみる。通じない。
とりあえず、何らかの理由で僕には売れないことはわかった。
じゃあいいや、という感じで”ソーセージエッグマフィン”のセットとホットコーヒーを指さした。
そうしたらまた色々と中国語で聞かれた。わかんないっつうの。
おねがい!もうベーシックなやつでいいから出してください!
英語も通じず、身振り手振りも通じず、ソーセージエッグマフィンのセットを頼むだけで一番苦戦した。
店員が不親切だった訳じゃないけど、もうちょっと理解してくれ(笑)
ただ、自分が店員の立場だったら、同じ状態になるかもしれない。
接客をしていて、突然外国人が来た。スラっと英語で対応できる日本人がどれだけいるか?
単語を繋げたような拙い英語でも、文法が全然違うような英語でも、たいてい通じる。
でも、接客という緊張の中で、(マニュアル通りに伝えなきゃ)、(クーポンを持ってるか、コーヒーにミルクと砂糖がいるか聞かなきゃ。)と考えているとテンパってなかなか言葉が出ないと思う。
接客は難しい。
ありがとう店員さん。
おかげでいつも通りのソーセージエッグマフィンセットが食べられました。
マクドナルドを出て、僕は南のほうへ向かった。
徐々に繁華街から外れ、何気ない台湾の生活風景が垣間見えるようになった。
理髪店、金物屋、古本屋…
どこも昔から営業しているような佇まいで、時の進みがこの辺だけ遅いような感じがした。
11:30 剥皮寮歴史街区
来たかったところ。『剥皮寮(ボーピーリャオ)歴史街区』に着いた。
ここも日本統治時代の遺産らしい。
100年の時間を経て、小学校や商店だった跡地がかなりきれいに残っている場所だ。
台湾総督府や、華山1914、西門紅楼と同じように、日本統治時代に建てられたレンガ建築はどれも西洋的な佇まい。
こんなに芸術的なレンガ造の建築物を台湾にたくさん建てているのに、どうして日本にはそれほどないのか?
もちろん、東京駅、横浜赤レンガ倉庫、富岡製糸場、名古屋市市政資料館など、現存しているものはいくつかある。
ただ、台湾ではそれ以上に至るところにレンガの建物があるように感じた。
その理由は、日本が台湾を統治していた時代、ちょうど100年くらい前は、ちょうどレンガ建築が流行っていたから。
台湾のインフラや建築物を整備しようと、当時の流行りのレンガ造りをふんだんに取り入れた。
でも、日本では古くから木造建築のほうが得意だった。
明治時代にオシャレな西洋文化としてレンガ造りが大流行したので、日本にも台湾にも西洋建築をポンポン建てた。
しかし室内に湿度がこもるし、何より地震にもろいのが致命的となり、関東大震災以降、レンガは使われなくなって木材や鉄筋に変わっていった。
日本や台湾に現存しているレンガ建築は、明治時代のレンガブームの名残なのだとか。
(参考にしたサイト:https://ameblo.jp/yukasikido/entry-11569692503.html)
ウルトラマンらしき地球外生命体が、仙人?神様?と一緒に描かれている壁画もあった。
見どころってほどの見どころはないが、なかなか面白い場所だった。
名所情報
名称 剥皮寮歴史街区
住所Lane 173, Kangding Road, Wanhua District, Taipei City
営業時間09:00~21:00(月曜定休)
https://www.huashan1914.com/w/huashan1914/index
(2018年04月25日現在)
11:40 ディープな萬華区の市場
九分へ行く電車に乗るため、萬華(バンカ)駅まで歩くことにした。
西門から萬華駅までは歩いて20分くらいだった。
バスや地下鉄を使う手もあったが、途中で寄りたいところがあった。
歩いていると、雰囲気のある路地裏や隠れた商店街が増えてきた。
それも、繁華街から離れるにつれてどんどんディープな感じになっていく。
昼間から賑やかな市場も通りかかった。
八百屋、魚屋、服屋、鶏肉屋(かなりグロテスク)…
どこも地元民のための店舗って感じで、観光客は自分の他にいなかった。
ただ、台北は東京よりも治安がいい都市と言われているが、萬華区は例外的に風俗店や暴力団関係の店舗が多いらしく、夜は絶対に近寄ってはいけないスポットだという。
僕は昼間だったこともあり、特に危ない場面に遭遇することはなかった。
(無知で足を踏み入れること自体が危ない場面だけど)
途中、ネオンがきらびやかなお寺を通過して、萬華駅に着いた。
12:30 萬華駅から瑞芳駅へ
萬華駅からはTRAで瑞芳駅まで行き、そこからはバスかタクシーで九分に行くイメージ。
TRAっていうのは、台湾の国鉄。JRならぬTRってところか。
今回は區間車に乗る。
區間車は普通列車で、1時間くらい。自強号が特急列車で、40分くらいで行ける。
運賃は53元(約200円)。(特急列車は91元(約350円)だったらしい。乗ればよかった)
っていうか、電車行っちゃったばっかりじゃん…。
次の電車まで30分。めっちゃタイムロスした。
(↑ 車掌さんと思いっきり目が合ってしまった)
電車に乗るまでは曇り空だったが、景色から建物がなくなっていくにつれて雨に変わった。
九分の先に、十分(シーフェン)という場所がある。
十分では、今となっては日本各地でも行われることがあるが、ランタンに願い事を書いてを空に飛ばす、いわゆるラプンツェルのお祭りみたいなことが毎日行われている。
九分のついでに寄りたかったが、雨なので諦めた。次回リベンジしよう。
13:30 九分
瑞芳駅に到着した。駅前はこじんまりとした印象だけど、お店はたくさんありそう。
バスを探したけど、相変わらずの下調べ不足で乗り場がさっぱりわからない。
とはいっても、土砂降りのなかバスを待つのも面倒くさかったので、台湾に来て初のタクシー移動をすることにした。
瑞芳駅から九分までのタクシー料金は205元で統一されている。良心的。
(ちなみにバスは15元だったらしい。もっと早く言え。)
九分までは山道を延々と登っていく。
助手席に座らされて、なんとなく気まずい空気の中、特に会話もせず(できないけど)到着した。
着いた!九分!!
タクシーから降りたらすぐにビチョビチョになった。
狭く、階段の多い道を歩き、探索を開始する。
探索とは言え、順路と立ち入り可能エリアが決まっている。住民にとっても観光客に右往左往されると迷惑だろうし。
九分は雨の多い街と聞いていたが、雨の似合う街でもある気がする。
霧に霞んだ山や家々は幻想的で、九分らしい文化的な装飾などが一層引き立った。
とはいえ、土砂降りすぎる。
小さな折り畳み傘だけで行ったのが間違いだった。
周りの中国人観光客は、雨合羽を着たり、脚にビニール袋を履いたり、用意周到だった。
というか、九分、中国人しかいない。
2日間で台湾人と中国人の違いがなんとなく分かるようになった。
顔や言葉は大体一緒でわからんが、服装がかなり違う。
中国人はド派手なジャージとか、ダサファッションなのに対して、台湾人は日本寄りの落ち着いたオシャレめファッションが多い。
そんな中、僕と同じカメラを持って、たどたどしく写真を撮る女性がいた。
日本人ぽく見える。しかも一人旅なのか、一人きりだ。
九分では意外と日本人と遭遇しなかったのもあって、妙に安心感を抱いた。
す…「すごい雨ですね」とか話しかけてみようかな…。
しかし後ろから奇抜な髪形の彼氏らしき男が現れた。
なんだ、一人旅じゃねーじゃん。
しかもよく見たら二人ともダサいお揃いのスニーカーを履いていた。中国人じゃん。
…まあね!勇気も経験もないけど!?そんなことするわけないけど!!
僕はその後も日本人に会うことはなかった。
店が並んだ通りで、チキンナゲットっぽいもの(70元)を買った。
味付けはコンソメ風で、脂っこくもなく、多少小骨があったがおいしかった。
次に、猪肉のソーセージ(40元)。
イノシシの肉は日本でも食べられるけど、台湾で初めて口にした。
臭みや癖もなくて、肉の味はしっかりする。うん、これも美味いぞ。
ちゃんとした昼食をとっていなかったけど、軽食で済ませた。
九分はそれほど広い街ではない。2時間くらいで一周すれば大体満足する。
さあ、どうやって帰るんだろう。
名所情報
名称 九分
住所Jishan Street, Ruifang District, New Taipei City
営業時間05:00~23:00(無休)
15:30 台北へ帰るバス
バス停に行列ができていた。
とりあえず、列が出来てるんだし帰りのバスだろう。
行列の先頭がどこまで続いてるのかもわからず、どこ行きのバスなのかも良くわからないまま、大雨の中、最後尾に並んだ。
いくらで行くんだろう。先払いなのか、どこかでチケットを買っておくべきだったのか、調べようもないし、聞ける人もいない。
ただわかることは、15分おきくらいに「台北」と書いてある大型バスがやってくる。
2本目でギリギリ乗れた。運良く、自分が乗ったところで満席になった。
真っ白に霧がかかった山奥を、湿度120%くらいの車内で真っ白に曇ったバスが走る。
席が狭いうえに満席で、空気も悪い。乗り心地は最悪だった。
途中停車やアナウンスなどはなく、中国語で流れる電光掲示板だけが光っていた。
最寄駅までかと思っていたが、どうやらこのバス、台北方面に向かっている。
長い間揺られるにつれて、不安が大きくなった。
どこを走っているのか知る手立てはGPSしかなかった。
そして更なる不安が襲った。運賃の支払いだった。
バス停にもバスにも運賃の表示が無い。
乗るときに請求されなかったので後払いみたいだけど、ちょっと待て。ちゃんと払えるのか?
(あれ、現金が55元しかない…。これじゃ払えなくね…?)
EasyCardの残高はたしか90元くらい。
九分まで来るのに、電車で53元、タクシーで205元。合計258元もかかった。
いくらバスでも、九分から台北までの直行便なら90元でおさまるはずがない…
クレカがバスで使えるわけないし、ATMでおろすまで待ってもらえるわけがない。
払えなかったら無賃乗車で捕まるんだろうか…
バスを遅らせて他の乗客に迷惑をかけてしまうんだろうか…
僕は、ここに来て絶望した。
▼つづく(4日目へ)
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