先週の日曜日、奥多摩にソロ登山しに行ってきた。(登山は初心者だけどマイブーム)
山がほとんどない関東平野で、唯一都民でも生きやすい場所にあるのが奥多摩だ。
新宿から80分で行ける大自然の魅力を書き出していく。
登山コースの概要
コースは奥多摩・高尾周辺の登山コースがいくつも紹介されている本に基づいて、「御前山 大ブナ尾根トレイル」コースにした。
この本によると、難易度は★★☆☆、所要時間は4時間55分とのことで、初~中級者コースといった感じ。
僕にもちょうどいいレベルだろう、とここに決めた。
奥多摩湖バス停(スタート) | 530m(標高) |
↓ | |
サス沢山(指沢山) | 940m |
↓ | |
惣岳山 | 1349m |
↓ | |
御前山 | 1405m |
↓ | |
トチノキ広場 | 830m |
↓ | |
境橋バス停(ゴール) | 390m |
御前山は、奥多摩三山のひとつ。「三頭山、御前山、大岳山」とある中で2番目に高い山。
ちなみに、惣岳山(そうがくさん)は、御前山の支峰で標高1341mの惣岳山(今回登る山)と、高水三山で標高731mの惣岳山、奥多摩周辺の近い場所に同じ名前の山がふたつあるらしい。
ただ、ネット上で調べても指摘してる人がいないのと、Wikipediaでも前者のリンクを踏んだのに後者のページに飛ばされたりとごっちゃになってるので、理由は詳しくはわからなかった。
つうか、奥多摩周辺の山多すぎて全部似たような名前すぎんだろ!
奥多摩湖バス停へ向かう
新宿から80分というのは、あくまで“最速で”という話。
ホリデー快速おくたまを使えば奥多摩駅まで直行してくれるけど、普通に行くと「新宿⇒立川(中央線)」「立川⇒青梅(青梅線)」「青梅⇒奥多摩(青梅線)」と乗り換えたりして、2時間以上かかったりする。
でも、ホリデー快速おくたまは6時台~8時台しかないので、ついついのんびり出発してしまう僕はいつも乗れない(笑)
9時過ぎに家を出て、電車とバスを乗り継ぎ、奥多摩湖に着いたのは11時半だった。あんまり真似はしないでほしい。
在来線で奥多摩駅に着いたら、2番乗り場から「奥09~15」の系統番号のバスに乗ると、奥多摩湖まで行ける。
系統ごとの本数は少ないけど、2番乗り場のバスなら全部奥多摩湖を経由するのでスムーズに向かえるはず。
(車で来る場合、奥多摩湖バス停近くに広めの駐車場がある)
約15分バスに揺られ、奥多摩湖バス停に到着すると、眼前には巨大なダム湖が!!
奥多摩湖は、多摩川を小河内(おごうち)ダムによってせき止めてできた人工的な湖で、東京都の水源の約20%を占めるなど、重要な役割を持っている。
堤体の上には3階建ての展望台もあり、中では模型や昔の写真が展示してあった。
堤体を歩いて渡ると、サス沢山登山口がある。
サス沢山からの絶景を目指し、急登
バス停では10人くらい降りたけど、この登山口に向かってきたのは僕だけだった。
ここ数年、アウトドア人気で登山客が増えているという背景はあるものの、都内ではほとんど高尾山やら陣馬山、御岳山あたりに集中していて、人気のない登山道ではほとんど人とすれ違わなかったりする。
今回も、約5時間の登山中に会ったのは10組くらいだった。
「よし」と気合を入れ、いざ登山開始。
頂上まではほぼ同じような勾配で、緩やかで腰を下ろせるような場所はほとんどなかった。今回、特に深く考えずにストックは持ってこなかったのを後悔した。
途中、ロープをつたって登っていくような急登の場所もあり、次第に余裕がなくなってくる。急登とか言うくせに全然キュートじゃない。
ただ、救いなのが木々の間から湖が見えることだった。木陰で日光に当たらないというのもあるけど、視界がすがすがしいとポジティブになれる。
そして、1時間半ほど登ってサス沢山の山頂に到着した。
新しめの展望デッキとベンチが2つ、電波塔。山頂を示す看板はかなり質素だ。
指沢山でサスザワと読むらしい。地図や看板には「サス沢山」で統一されているけど、なんでだろう。
山頂には誰もいなかった。
うぉぉぉぉーーーー!!!きれい!!!
展望デッキからは奥多摩湖を一望なんてものじゃない。湖から奥多摩周辺の山々まで丸見えであった。
時期が時期なので小さい虫が多く気になったが、せっかくベンチから絶景が一望できて、しかも独り占めだったので、昼休憩することにして、おにぎりを頬張った。
この時、ある失敗に気付いた。
家で用意していた水を持ってくるのを忘れていた。来る途中になんとなく買った500mlのポカリスウェットが半分あるだけで、他に水分がなかった。
いやいやいやいや。これは命取りだ。ピンチだ。
しかし焦ってもあとの祭りなので、途中、変なところに自販機や水道があることを祈って歩みを続けた。
中継地点の惣岳山へ
座って体力回復させたので、再び悠々と登り始める。
普段聴きなれないような鳥の声を聴いていると、雄大な自然への安心感というか、日常とのギャップもあってスッキリするんだよね。
あとは、登山ならではのルールというか、すれ違う人はみんな挨拶してくれるのが凄くうれしい。街中で挨拶してくれるのはおばあちゃんか小学生くらいだし。
わざわざ休日に山に登りにくるような人なんだから、心にゆとりがあるんだろうな。と思ったけど、自分はただ暇なだけなんだよなぁ…。
でも、僕が登山にハマり始めたのは、山頂に着いたときの達成感というより、「自然に没入できる」というのと「山が好きな人の温かさ」が感じられるからだと思うんだよね。
まぁ、運動不足解消が一番の目的なんだけど。
黙々と1時間ほど登るも、傾斜は相変わらずきつめで、だんだんしんどさが出てきた。足取りが重すぎて登れている感覚がない。
厳しくなってきたのに加えて、さらに萎えるのは虫だ。
デカくて害のある虫でないだけまだマシだけど、ボウフラみたいな小さい虫が自分に集まって追いかけてきていた。そんなにいい匂いがしたのか、はたまたキツイ臭いに集まるのか、とりあえず口に入ったり肌に触れるのが不快だった。
次は虫よけスプレーも必携しよう…。
そうしている間に、惣岳山の山頂に到着した。
相変わらず、山頂には人がいなかった。
そして相変わらず、虫がたくさんついてきていた。タオルで振り払ったり、走ったりしても撒けなかったので、諦めて帽子を深くかぶって縮こまって休むことにした。
この時、虫に耳の穴の近くを刺された。2日間ほど腫れた。
虫よけスプレーは必携しようと固く誓った。
御前山まで一気に登頂
惣岳山と御前山の標高差は、たったの60m。
今まで登ってきた高さを考えたら、屁でもない。そう思って軽快に歩き始めた。
最初の下り坂はなだらかで、きれいに柵も並んでいた。走って下ったら、鬱陶しかった虫もいなくなった。
階段状に木が打ち込まれているものの、段差が高くて息が上がる。
ゆっくりゆっくり歩みを進め、14時半すぎ、
御前山 登頂!!
(頂上は木々に囲まれていて展望がないので、頂上付近で撮った写真を)
山頂にはどこかの高校の登山部員たちがキャンプをしていた。
いいなぁ、僕もキャンプしたいなぁ。
ちなみに、スタート地点と頂上の標高差は925m!!
大阪のあべのハルカスが60階建て300mで日本一高いビルだから、単純に180階分くらい登ったってことになる。そう考えるとなんかすごい(語彙力)
小走りでトチノキ広場まで駆け下りる
3時間かけて登った山も、石のモニュメントがあるだけで他には何にもないので、しばらく休んでそそくさと山を下ることにした。
なんといっても水がない。早く帰りたい。
帰り道は行きよりも勾配が緩く、木の根っこも岩もデコボコ道もなく、軽快に下りられた。
気持ちいい~とスキップ気味で何回か転びかけながらも、トチノキ広場に着いた。
といっても、トチノキ広場には特に何もない。水飲み場も自販機も売店もない。
最後のひと踏ん張り、という所で、道の選択を迫られた。
- 舗装された道路だけど、くねくね。所要時間50分。
- 沢を下るけど、一直線。所要時間40分。
正直、ちょっと悩んだ。もう疲れてたし。
舗装路を降りれば楽ちんだけど、景色はつまらなそう。沢のほうが早そうだし、近そうだし、ワンチャン水飲めるかもだし、そっちにしよう!
そして後者、栃寄沢を下りることにした。でもこれは大失敗だった。
(迷って沢に下りるのはタブーらしい)
絶望の沢下りの末
最後に人が踏み入ってから3か月くらい経ってるような草が茂った道、というか道すらなくて何回か迷子になりかけた。
沢は途中まで枯れていた。後ろから物音がしたり、草が服に引っかかるたびに「あーもう最悪」を連呼しながら一人で下っていた。
でも次の瞬間、小川にたどり着いた!!
水だ!!!!!
濾過とか、煮沸とか、消毒とかというステップをすべて忘れて、多摩川の源流の水を飲んだ。
絶望の中に希望を感じた。生き返ったー!!
でも、真似しちゃだめだよ。
さらに下ると、栃寄大滝という滝があった。
大滝というには大仰な表現な気がするが、実際は写真よりも大きく感じた。
1人でぶつぶつ言いながらも、ゆっくり流れるせせらぎ沿いを歩いていたら、いつの間にか再び舗装された道にたどり着いた。
やっと沢から出られた…
ここからバス停までは歩いて20分くらい。
ようやく目前にゴールが見え、足取りが軽くなる。が、靴擦れしていることに気づいた。親指の腹に水ぶくれができていた。
電波が来ていたのでバス停の時刻表を調べた。
次のバスは、10分後だった。しかも、次のバスは1時間後。
「とことんツイてねぇな!」という怒りを抑え、徒歩20分の道を10分以内に下りるべく、最後の力で走った。
なんとか、境橋にあるバス停に、3分前くらいに着いたが、着いた瞬間バスが来た。定刻だったら行っちゃってたのか…危ない危ない。
そんなこんなで、16時半にゴールした。所要時間は5時間なので、ほぼ予定通りに進んだけど、これ以上遅くなると危なかった。
経験不足というのもあるので、次回はちゃんと計画して早めに出よう。
さいごに
奥多摩、登山客は結構来るけど野生の動物もたくさんいる。
特にクマはちょくちょく目撃されるので、対策は必須だ。(とか言いながら、1人登山だし、笛も鈴も持ってかなかったんだけど)
しかし、登山はやっぱり気持ちいい。
アウトドアを普段しない人も、1回だけやってみるか、と思ってやってみると意外と見えなかったものや妙な達成感を得られたりするかもしれない。
コンフォートゾーンを広げるためにも、新たなことにチャレンジしてみてはどうだろうか。